【ネタバレ】リメンバーミーとCOCOの違い

題名の通りネタバレ記事なので、リメンバーミーまだ観てない方はみないでください。

現在住んでいる地域で公開されてからリメンバーミーの虜なんですけど、英語音声で観て一番心に響いた伏線が日本語吹き替え版で単語すら消えていたということを友達に聞いたのでその部分だけ書き出したいと思います。

 

自分で吹き替え版を見ていない癖にと思われそうですが、この記事は吹き替え版を否定したいものではありません。単にそこを受け取ったうえでの解釈だと作品が違って見えてくると思い、伝えることにしました。

この記事を読んでまた、字幕版でも吹き替え版でもいいからもう一回リメンバーミーを見てほしい…そんな気持ちで書いています。

 

以下、重大なネタバレを含みますので自己責任でお願いします。

 

 

リメンバーミーが伝えたかったことは、家族の大切さ、文化の大切さの2つだと思っています。

自分たちの知っている血のつながった人だけではなく、これまでの私たちの家族を育ててくれたすべての人々、環境への感謝をもって生きる。その家族すべてを誇りとし、記憶の中にとどめて生きていきたい。そんなメッセージを私は強く受け取りました。

 

(ここからすごいネタバレです)

 

家族は大好きだ。でも認めてもらえない。

 

本編の冒頭でミゲルが靴づくりに参加すると決められたシーン。ミゲルの祖母、エレナが家族の文化である靴づくりに参加することに決まったのが死者の日であることについて「ご先祖様達もお前のことを誇るはずだよ」("Your ancestors will be so proud")と言っています。

このことをその時のミゲルはあまりよく思っていません。音楽がやりたいのに、認めてもらえずにいるから当然です。

そして、音楽をするうえで一番大事にしていた手作りギターを壊され、死者からギターを盗み、それにより死者の国を訪れることになるわけですね。

この時の音楽はミゲルにとって糧であり、それを認めてもらえてようやく自分を誇れると思っていたように感じました。

 

初めて認められた場所

 

中盤、コンペにてUN POCO LOCOを歌い終えたシーンで、初めてミゲルは多くの人々(骨々?)に認められます。その際「お前を誇りに思うよ!」("I'm proud of you")と死者の国の住民中では一番頼れるヘクターにも認めてもらえます。

その時のミゲルの目の輝き方はもう…いままでの影での努力を一気に発揮できたあの瞬間の輝きはどんなに大きかったことか。私はこのシーンでいつも泣きます。

 

正直、ここまでの翻訳については何も聞いてません。ここまでがこの先のための重要な伏線、キーワードであったこと。ここまでに誇りを感じさせていてもこの後誇りについて語っていなければ何も意味がないのです。

 

その後なんやかんやいろいろあって、生前エルネストがヘクターを殺し、ヘクターの歌を盗んで成功してきた秘密を知ってしまった2人は、エルネストよって穴に落とされてしまいます。

ミゲルが尊敬してやまなかった彼に裏切られたときに、支えてくれたのはヘクターでした。そして、ヘクターが生者の国に行きたい理由が、ミゲルの曾祖母である”COCO”にもう一度会うためということをしります。

 

”誇り”

 

2人は家族だったという事実。大好きな”リメンバーミー”の作者が家族であること、こんなにも愛にあふれて、暖かい人物が家族であることに気づいたミゲルは「ぼくたちが家族であること、ヘクターの家族でいれることがぼくの誇りだ!」("I'm proud we're family! I'm proud to be his family!!")と叫びます。ヘクターも「ミゲルの家族でいれることがおれの誇りだ!」("I'm proud to be his family!!")と続けるのです。

 

ここ、最高すぎませんか?

 

音楽のルーツがヘクターだったというだけでなく、彼の人柄すべてを含めて、自分がリヴェラ一家であることを心の底から誇りに思えるシーン。

 

最高なんですよ。

 

それが翻訳版だと「ヘクターの家族でよかった!」「おれもミゲルの家族で嬉しいよ!」という感じに訳されてるらしいんですね。

ここが誇りであるか、ただ嬉しいだけかって結構な違いだと思うんです。そして、このセリフは最後の最後にまで響いてしまうわけです。

 

Proud→家族 ≠ 家族→Proud

 

この映画において一番泣けるのはラストの”音楽はいつまでも”が流れ始めてからだと思うんです。

この曲はApple Musicで聞けたのでDLしました。

「声を合わせぼくら家族、歌いながら伝えよう。みんなの思い出とともに生き続ける、いつまでも」

ここの家族は言うまでもなく、ご祖先も含めたすべてですね。この歌詞としては、ご祖先のみんながくれた思い出、感謝とともに生き続けるよっていう感じだと思います。

すでに字幕版をみていた友人に吹き替え版の話を聞き、ここに少し違和感を感じたのがこの記事に書いていることについて深く考え始めたきっかけでした。

 

そもそもこの曲の原題が、"Proud Corazón"なんですね。ものすごい直訳すると誇りの心…もう何が言いたいか分かったと思うんですけど。

最初から最後まで、このお話は誇りがキーになってるんですよ。

 

"Our love for each other will live on forever In every beat of my proud corazón" (ぼくたちの愛は、誇りの心の刻みのなかでいつまでも生き続ける)

 

ここまでの伏線すべてまとめると、かなり意味が変わってきませんか?このラストへのつなげ方がめちゃめちゃにうまいんですよ。

穴の中のシーンで家族を誇ったかどうかで、日本語の歌詞の解釈すら変わってしまう…翻訳って本当に難しいお仕事だと思います。

 

ただ、わたしはこの流れでものすごく感動したし、心に響いたから、今まで見てきたカートゥーン映画のなかで1番好きになれたんです。それを伝えたかったんです。

 

英語のセリフでの解釈があって、翻訳版をみるなら理解できる歌詞だとは思ったんですけど、多分日本語でそのままみてるだけで同じ解釈はできないなと、思ったんです。

日本語版は日本語版で別の解釈ができるのかなと、配信などが始まったらどうにかこっちから鑑賞できないかなあと考えています。それを鑑賞した後、またこのブログを書き直すかもしれません。

 

もう2500文字以上も書いてきましたが、この”家族への誇り”について注目しながらぜひ、もう一度映画館へ足を運んでください。

なにかご意見、反論などありましたらこのブログでもTwitterでも、語りましょう…!

では、長々とお付き合いありがとうございました。

また機会があれば、ブログかきます。

 

へこ

 

2018/3/23 16:42(JP) 脱字修正しました。

同日     17:10(JP) 指摘いただいてすこし加筆しました。